海峡環境の保全・美化活動及び環境啓発・教育活動そして”阿南SUPタウンプロジェクト”に積極的に参画いただいている「EARTH SHIP PARTNER ANAN」通称”ESPA”

今回は阿南市長生町で農業を営む「株式会社日和ファーム」さんの代表取締役 平田 辰徳(ひらた たつのり)さんがご登場!

東京都で生まれ育った平田さんがどうして阿南市で農業を?個人的に気になることも含めてたくさんお話を伺わせていただきました!

それでは早速・・・

Q1 日和ファームさんはどんな事をしている会社ですか?

平田さん)我々は一般的には農家なのですが、少し違うのが有機農法で農作物を育ててる会社ということです。全国で有機農法を行っている農家はわずか数%程度で、ほとんどが農薬を使った農法で農作物を育てているんですね。この長生町でも我々だけがこの農法を用いて農作物を作っている農家になります。

Q2 日和ファームさんの強みはなんですか?

平田さん)有機JAS(農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物のこと)の認定を受けていることと農作物であるお米の食味値(1OO点満点で表し、数値が高いほど美味しい。日本産では、60~65点が標準になっている)はSランクの食味値で美味しいお米であることはもちろん、糠(ぬか)に農薬が溜まらないので精米せずに玄米でも食べられるぐらい消費者の方にとって安全なものを育てています!

他に強みでいうと一次産業、二次産業、三次産業と一貫した連携の中でビジネスが出来るということです。一般的な農家さんだと農協に商品を卸したりするのですが、我々は例えばお米を米粉にして関連会社に売ってパンにして販売したりなど確実に農作物の出口があることも強みですかね。

Q3 事業をする上で大切にしていることを教えてください!

平田さん)まず人ですね!働いてくれる人が一番大切で、実は農業って労働基準法がないんですよ。残業しても土日出社しても残業代を出さなきゃいけないとかもないのですが、自分は農業が衰退している理由がそういうところにあると考えています。だからこそ経営者として働く人の労働環境を大切にするべきだと思っています。そういった面でうちは農業業界では珍しく週休二日制ですし残業もほぼなく1日8時間以内で作業を終え、繁忙期でも労働時間が週40時間を超えないように調整しています。

後は自然を大切にするということですかね。長生町って実は環境省から指定されている絶滅危惧種の植物が16種類もあって、この自然を壊さないように農薬や除草剤を使わないことや、近隣の方に迷惑をかけないように自然と共に農業をするということに気をつけています。

Q4 農業への想いをお聞かせください!

平田さん)元々東京の江東区の門前仲町というところで育った都会っ子だったんです。東京駅まで車で10分かかららないぐらいのところに住んでいました(笑)それで初めて田舎に行って食べさせていただいた、農薬を使っていない野菜がすごく美味しかったんです!

実際東京で食べている野菜ってどういうものかというと、地方から運んで店頭に並ぶまでに時間がかかりますから「長くスーパーに置いていも大丈夫」とかちゃんと日持ちするものじゃないといけないんです。それこそ海外から来る野菜はものすごく農薬を使っておかないと虫が付いたり劣化しやすくなったりします。野菜の味がしなかったり東京の子どもたちがニンジン嫌いなのもニンジンが甘くないからなんですよ。でも徳島の農家さんのニンジンは甘いんです!阿南市って食べ物がほんと美味しくて、阿南市の方はみんな当たり前と思われるんですけど(笑)

ある意味本当にこう農家さんたちが「正しいことを正しくやる」そして消費者の皆さんの健康を考えて農業に取り組むことが本来の農業なのかなという想いがあります。

Q5 会社の将来像やこれからのビジョンについて

平田さん) 大きくステップが3段階あって、まず1段階として阿南市の農家さんと協力して農薬を使わない純粋性の高いお米や野菜を作っていきたいなと思っています。先ほどもお話しさせていただいた有機JASを用いた農法を我々日和ファームが主体となって皆さんに伝えていきたいと考えています。そうやってできた農作物の販売ルートも関係各所と連携しながら確保してきたいですね。今、全国的にお米って余っている状況にあるので米粉にしてパンにしたり、お酒にしたり工夫しながら阿南市の農作物を発信していきたいと思っています。

2段階目は、阿南市の人たちに出資してもらって阿南の農園みたいにしていけたらと考えています。阿南市で成功したら市から出資を受けてこの日和ファームと一緒に会社を運営してこの会社をひとりのものじゃなくて阿南市のものにしたいんですね。土地もいまは個人所有になっていますけど市に管理してもらったり、正直その土地を誰かのものにするのではなくみんなで分け合わないと農業は発展しないと思っています。見てもらったら分かるとおり阿南の田んぼって小さいのですごく非効率なんです。

そして3段階目は阿南から世界に純粋な農法を用いた農作物を発信したいと考えています。最終的なビジョンとして日本で上場してもいいですし、海外に拠点を持って行って海外に支社を設立も案としてあります。世界ではグルテンフリーが流行しているのでお米にはまだまだ可能性があると感じていて、これが成功すればより多くの純粋な農作物が出来て消費者の方にも良いものが届けられるかなと思います!

Q6 阿南市を起業の場に選んだ理由

平田さん)僕は今年5月で40歳になるんですけど、35歳ぐらいの時ですかね。元々起業していた会社もある程度大きくなり落ち着いてきた時に「人生の後半は好きなことにチャレンジしてみよう!」と思ったことがきっかけで、農業をする場所を全国あちこち回って探しました。ベトナムで別の会社を立ち上げた時も、その土地に行って現地人から話を聞いて決めたので今回も色々行きました(笑)高千穂とか阿蘇とか高知の足摺にも、もちろん阿南市も!

僕、実は寒いのが苦手で・・・(笑)

東北も候補にあったのですが断念して、九州や四国を中心に探していた時にたまたまこの長生町を通って市役所に行くナビが入っていて、6月の晴れた日でここの景色が桃源郷のように見えたんですよ。全国回ってもこんなところなかったなぁって思ったんですね。

それに阿南市ってほんとにちょうどいい田舎なんです。ここは田舎ですけど車でちょっといけば阿南市役所があったり、完全な田舎も体感できるし、かといってビジネスとしても悪くない。そういった意味で自分に一番あったところかなと!後はとにかく人がよかったですね!

Q7阿南市とのこれからの関わりについて

平田さん)僕が今、外部の人間として体感している阿南市の抱えている一番の問題っていうのは老年人口の増加に伴って色んな産業が衰退していることだと考えています。正直若い人が阿南市にたくさん来ても出生数が追いついていないので、この衰退していくスピードの勝ることはできないんですね。じゃあその中で日和ファームは一番何ができるのか考えた時に、衰退しながらも別の視点で最大限活性化していくことじゃないかなと思っています。例えば今までできていなかった水路の整備や掃除を担って阿南市の良いところを残しつつ、新しい時代に向かっていかなければいけないんじゃないんかなと感じています。

それでもし市と協力できるのであれば、一緒に農業を出来ればと思っていますね。もう法人だとか行政だとかそういう枠で考えているような衰退状況ではないので想いのある人たちができるだけ市民の人たちや役所と協力して将来の産業を担えるようなものを日々考えて取り組めたらと思います!

Q8最後にこの記事を見ている皆さんへメッセージをお願いします!

平田さん)この記事を見ている方は阿南市を少しでもよくしたいとの想いのある方が多いと思います。僕もその一人だと思っています!一人でやれることは少ないので、僕の考え方はみんなで一緒に連携して活動を一緒にしたいと思っていて、例えば誰かが抱えている問題を一日でもいいから一緒に取り組むとか、共に行動をすることで、何か必ず生まれるものがあるのでできるだけ多くの時間を共にしたいですね!

 

目標をしっかりと見すえた、力強い笑顔で語ってくれました!